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「ないものを存在するように言う」「あるものをあると言わない」日本語の不思議 1日1題:”ある”の表現

”むかーし、むかしあるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。”


こんな一般的な昔話のはじまりも、最近では少なくなってきました。


これ、英語で言うと、

Once upon a time, an old man and an old woman lived in a certain place.

Once upon a time, there were an old man and an old woman in a certain place.

のどちらでも表現できそうです。


あるところというのは、特定されないとある場所のことで、そこにお爺さんとお婆さんは存在し、住んでいたということです。


つまり、2人が住んでいました、でも、2人がいました、でも日本語でもどちらでも表現できるわけですね。私は中学のテストの採点の時に、こういった問題で、ここは住むと書いてあるからliveではないとダメというような説明を受けて理解はできても、納得できない思いを抱いたことがあります。


しかし、一方で大人になると、こんなこともありました。福岡で働いていたときなのですが、学校の先生の方言がきつくて授業が頭に入ってこないという相談が何回か塾に寄せられたことがあります。当時は塾の責任者でもなんでもなかったので、「そんなのは勉強に気乗りしない人間の言い訳だ」という周囲の発言を黙って聞いていたのですが、実のところ内心ではその子供たちに共感していました。私も九州出身でありながら、北部九州の方言でどうしてもなじめないものがあったのです。

それが、”ある”でした。


一部地域のものかもしれないですが、佐賀や福岡の人はなんでも”ある”というのです。

「さっきお客さんがあってですね(さっきお客さんが来られてですね)」「さっきこぎゃん大きな虫が空中にあって(さっきこんなに大きな虫が空中にいて)」「さっきまで手の中にあった(さっきまで手に持っていた)」

といった感じで、九州の他の地域でも上記のような表現はするのですが、福岡は特にそれが顕著に感じていました。『(いや、”ある”以外の他の動詞ももっと使ってあげて!?)』という内心ずっともやもやしていたのです。


これとは、ちょっと話が変わるのですが、2020年現在、今の小学生と中学生の間には英語力に差があると感じる部分があります。小学生の方が中学生より圧倒的にできているのです。それが、日本語にひきずられない英語の文章構成です。


新課程の小学校の英語の教科書をそれぞれ全部見たわけではないのですが(それを全教科するにはお金がかかります)、おそらく、学校の授業を英語で表現することを今の小学校では習うようです。



例 (私は、)金曜日に数学の授業があります。

   I have a math class on Friday.


これをすぐに素直に英作文できる中学生がどれだけいるでしょうか。過半数以上いるにして

も、できない人も相当な数いるはずです。なぜなら、”have"=[持つ]という訳が頭にしみついているからです。なぜ「持つ」が「ある」になるのか、何度授業で出てきても納得できていなくて、記憶として定着しないのではないかと私は予想しています。しかし、”have"を「持つ」と訳すような問題が出てくることの方が少ないと断言できると私は以前から思っており、その点、新課程では昔の「I have a pen.(私はペンを持っています)」の授業から見事脱却が図られているのではないかと勝手に予想して、感動してます。

小学生は、冠詞や前置詞を中学生ほどうまく使えませんが、上の文章を「アイ ハブ マースクラス フライデイ」といったところで、おそらくほぼ意図は通じますからね。何より大事なのは、「授業がある」というのをhaveという動詞を使って表現できることです。


日本語の「ある」の多様性を理解し、適切な英語の動詞(表現)に訳せることというのは、英語力というより、読解力、ひいては国語力につながっているのではないかと思います。


私も英語の専門家ではないので、文法的にちょっとミスがあるかもしれませんが、どんな風に「ある」を英語にするのか、少し長い文を作ってやってみますね。


I have a dream .The festival that was held every year in my hometown has been canceled this year. The cause is the epidemic of the new corona disease. I want to participate in this festival as a dancer as early as next year, at least again next year. I've always thought that festivals are everywhere, and only eating interesting foods sold there is meaningful. I think that way of thinking was common to all children in Japan. But that idea was a big mistake. Not just the Olympics, any small festival is a symbol of peace. I have never been an active participant in local events. But the next time I have a festival in my hometown, I think everyone in this town will realize that there is true peace in this era.

私には、一つの夢があります。生まれ故郷で毎年あるお祭りが今年中止になってしまいました。新型コロナという疫病の大流行が原因です。私は、早くて来年、少なくとも再来年にはこのお祭りに踊り子として参加したいという希望があります。私はこれまでお祭りなんてどこにでもあるもので、そこで売られている面白い食べ物を食べることのみに意義があるものだと考えてきました。そんな考え方は、日本のほとんどすべての子供たちに共通認識としてあったと思います。しかし、その考えは、大きな誤りでした。オリンピックに限らず、どんな小さなお祭りも平和の象徴です。私はこれまで、積極的に地元の行事に参加したことがありませんでした。しかし、次に私の生まれ故郷でお祭りがあるときには、この時代に真実の平和があることを、そのお祭りの参加によって、この町のすべての人が実感すると思います。


少し長いかもしれませんが、中学生でも挑戦できる英作文として考えてみました。日本語に”ある”という言葉がたくさん出てくるのは、わざとです(笑)英作文のポイントは自分が言いたいことを言うというよりは、自分が使ってみたい表現、使える言葉を使う練習と考えた方がいいと思います。知っている言葉で、いかに相手に伝わるように話せるかというのは普段日本語でも我々が実践していることではないかと思います。


普段、お友達とよく話すのに、なぜ日本語の語彙が増えないかといえば、知っている言葉だけを使うから、知らない言葉が耳を素通りしていくからです。学校などで読書をすすめられるのも、何より子供たちの語彙を増やすためだと思われます。


上記の例文の日本語の”ある”が、どんな英単語に換わっているか、ぜひ探してみてください。ちなみに、文法とかこの作文自体諸々は受験英語しか知らない私の創作として、参考にはしないでください。

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